「今、母様がアイツの部屋に向かった。迷惑だから出てけとでも言うんじゃないか?」

「あんな奴うちでは使えないもんなー。」

「なんでよりによってあいつに母様の力が受け継がれたのか。」

「全然妖力ないのにな。」


有明が、乙姫様の能力を受け継いでいる?

彼らの会話に藍は首をかしげた。

見た目では有明は乙姫様の能力など受け継いでいないように見える。
何しろあの茶色い髪に茶色い目だ。
乙姫様との共通点など、あのヒレのような耳しか見当たらない。

どちらかと言えば、黒い瞳に黒い髪の彼らの方が乙姫様の血を強く受け継いでいるのだろうに。


「とにかく!今俺らがやるべきことは弓月が守っている子供を探すことだ!」

「女だ!有田藍!」

「じゃあ四つに分かれて探そう!」


ドタドタと駆け出してゆく音。

藍が隠れている場所の近くには二人が残った。