「いかれてる!九木はいかれてるよ!ダイダラボッチを食べるなんて!」

「やっぱり弓月についた方がいいよう!」

「馬鹿ね。九木の妖力を考えなさい。すぐ殺されるわ。」

「それよりも、あのよく分からん妖怪もやばくないか?」

「東北の?」

「そう。」

「じわじわこっちに向かってきてる。もうけっこう近い位置にいるぞ。」

「竜宮城に来たらどーすんだよ。」


段々話す人数が多くなってきた。

ふいにタッタッという足音が近づいてくる。


「おう晴天。茶色いグズはどんな様子だ?」

「馬鹿みたいに騒いでるよ。」


茶色いグズ。
有明のことか。

どうして有明は竜宮城ではそんな扱いなのだろうか。

藍は身体を小さく丸め会話をもっとよく聞こうと耳を澄ませた。