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結論から言えば、有田藍は見つからなかった。
来た道を戻ってもいなかったし、目的地である墓地に着いても藍はいなかった。
「……っざけんな。」
イライラが最高潮に達した伊勢千秋はドスのきいた声でそう呟く。
他の四人はただ震え上がるばかりだ。
班のメンバーの失踪など、大幅な減点、しかも罰則も待っている。
かつてないほどに恐ろしい顔の千秋を見て班のメンバーの心は一つだった。
何でもいいから有田藍早く帰ってこい!
「一人足りないけどそろそろ集合時間だよね。」
「そ、そうですね。」
雲の上の人と憧れていた伊勢千秋に声をかけられたのに全く嬉しくないな、と声をかけられた少女は思う。
千秋は不機嫌オーラ全開だし、学院に戻ったら減点と罰則が待っている。
楽しみにしていた実践訓練が有田藍のせいで散々になってしまった。
少女は心の中で行方不明の藍を罵倒する。
千秋の班一同は重い足取りで山を下る。