それから、と乙姫はさらに言葉を続ける。


「これから来る踊り子も私の娘と息子たちなんです。女の子は宵闇、夕闇、碧空、夕空、暁天、小夜、黄昏で男の子は、」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

藍は思わずストップをかけた。


「あの、乙姫様は、子供何人いるんですか?」


今まで藍が教えてもらっただけでも十人以上はいるだろう。
乙姫は口に手を当てしばし宙を見る。


「……五百人かしらねぇ。」

「五百!?」


面食らった藍に乙姫はケタケタと笑う。


「竜宮城は接待、食事作りに掃除まで全て私の家族だけで運営しているので足りないくらいなんですよ。」

「え、竜宮城ってどのくらいの規模なんですか?」

「五百兆真珠くらいかしらねぇ。」

「単位が小さすぎてよく分かりません。」

「少なくともお客様をもてなす部屋は百はあるかしら。」


藍はまた面食らう。
百部屋あるということは、一日に百組のお客を入れられるのだろう。

ちょっと規模が大きすぎるがすごい場所だということは分かった。