え、竹内って。
この前当主が殺されたって。


『太陽活動は静穏、活動領域1841でBクラスの小さな活動が発生しました。』


教室の隅で一人ブツブツと宇宙天気予報を呟いていた横顔を思い出す。


「竹内って、蛍のこと?」


竹内蛍。

蛍の家が、牛木の封印を守ってる?

呆然とした藍に、突然横から声がかかった。


「ねぇ。」


声だけで誰だが分かった。
無言のまま振り返れば想像通りの人物がそこに立っていた。


「君が一人で話しているようにしか見えないから完全に変人だよ。」

「……そうだね。」


伊勢千秋。

藍は彼にはあまりいい思い出がないため関わりたくなかった。
が、彼はその場から動かない。

じっ、と藍の隣、有明の方を見つめている。


「君の妖怪はそこにいるのかい?」


ポツリと、そう尋ねてきた。
有明は伊勢千秋の態度に眉を顰める。


「いるけど。話したいの?」

「まさか。河童以下の妖怪に話すことなんてないよ。」


そう一笑し、伊勢千秋は立ち去る。

藍は恐ろしくて有明の方を見れなかった。