「当たり前だろ。牛木って不滅の妖怪だとか言われてるけど、半分不死身みたいなもんだし。あれに寿命はない。誰かに殺されるまで永遠に生き続けるんだ。」

「今の牛木は誰?」

「あの教師も言ってただろ。壱与だよ壱与。」

「壱与?嘘じゃない?」

「嘘じゃねぇっつの。」


有明は茶色い目をつり上げる。


「壱与は牛木を倒す前、自分が牛木になった後のために呪いをかけておいたんだよ。次の牛木、まぁつまり自分が牛木になった瞬間、封印されるようにな。」

「その封印は今でも守られているの?」

「あぁ。お前でも知ってるだろ、竹内っていう金持ち。この前当主が九木に殺されたとこ。あそこの家系は1700年前からずっと牛木である壱与の封印を守ってるんだぜ。」


たっぷり五秒。

間を開けてから「へ。」というなんとも間抜けな音が藍の口から漏れた。