「八木というぬらりひょんの妖怪は、鬼道に優れた邪馬台国の卑弥呼の先祖に倒されたとされています。」

先生は黒板の八木の文字の上に大きくバツ印を書いた。


「牛鬼は今では消息不明の幻の妖怪です。1700年もの間存在が確認されていません。西文家の記録では卑弥呼の後に国を治めることとなった壱与が牛鬼を倒そうと東へ出発した、という噂話が残されていました。」


壱与。
卑弥呼。

日本史の授業で耳にしたことがある人物だ。

卑弥呼が死んだ後、邪馬台国では男の王をたてたがうまくいかなかった。だから13歳の壱与が女王になった。
確かそんな流れだったと思う。


「三大妖怪で現在も活動しているのは九木だけになります。九木は最近妖力を回復してきたので、これから何か仕掛けてくるかもしれません。かみの学年の皆さんは、気を引き締めて鬼道学園の防衛に努めてください。」


カーン、と鐘が鳴る。

授業終了のようだ。

ぞろぞろと生徒が動きだし、部屋は一気に騒がしくなる。
藍も人の波に押され部屋を出て行った。