実践訓練がなくなったのでその時間は妖怪学の時間となった。

藍は昨日紫月に渡された教科書を持って指定された教室へ走る。

途中の廊下では何人もの着物を着た生徒たちとすれ違った。
すけ、じょう、さかんの学年の子供たちなのだろう。
これから朝食らしい。

ちなみに有明もしっかり藍の後ろに着いてきている。

妖怪が妖怪学を受けるのか。


人通りが少なくなってきて、ようやく妖怪学の教室に着いた。
部屋の中はやはり畳が敷き詰められていた。


「では、臨時授業を始めましょう。」


そう言った先生であろう男性は八十歳くらいのおじいさんだった。
しわしわの顔に威厳が満ちている。

藍は慌てて空いている場所に座った。


「本日は時間があるので、実在するか否かで千年以上議論がなされてきた妖怪について話しましょう。」


先生はそう言うと先ほどのピシッとした表情から一転、にこりと笑う。
そして黒板にチョークでカッカッと書き出した。