「妖力で妖怪は区別出来ないの?」
「伊勢君はある程度できるよ。でも、今回の東北の妖怪は今まで感じたことのない妖力らしくて。」
眉をハの字にした佳那子。
ふと、もしかして同じ妖怪の有明なら分かるかもしれないと思い彼の方を見る。
「俺は嫌だよ。どんな妖怪か分かんねーけど、妖力が極端で気味悪い。」
ぶっと唇を突き出して有明はそう言う。
「おまけにその東北の妖怪、段々西へ移動してきてるぞ。」
「え。」
「出現したばかりの妖怪がわずか数日で移動している。何か目的があんのかもしんねーけど、とにかく俺はそーゆーわけわかんねぇ妖怪には関わりたくねぇな。」
「私からしたら君もわけわかんない妖怪だけど。」
「竜宮城の時期城主だっ!」
箸を休めて有明とそんな会話をしていたとき、やけに周りが静かなことに気付いた。