『かみの学年の生徒に連絡です。』
広間の中央で、髪をお団子にしたキリッとした女性がそう呼びかけた。
一瞬で広間にいる全員の目が彼女へ向かう。
かみの学年。
私も含まれるのか。
慣れるまで時間がかかりそうだと藍は思った。
『本日予定していた成績優秀者が中心となる実践訓練は中止となります。』
その瞬間、あちこちから「えー!?」というブーイングが起こった。
「実践?」
「遠足みたいなものなの。」
藍は佳那子の言葉に今一度広間にいるかみの学年の生徒を見つめる。
なるほど。
いくら鬼道学園の最高学年の良家のお嬢様お坊ちゃんでも遠足を楽しみにしているのか。
そこらへんは普通の学生と変わらないようだ。
あらかた生徒の興奮とブーイングが収まるのを待ってから、お団子の女性は再び声を張り上げた。
『中止の理由は学園の重役方が本日不在になるからです。皆さんも知っていると思いますが、一ヶ月ほど前東北に得体の知れない妖怪が現れました早急に調査しなければいけないので、本日の実践訓練に参加する予定だった方々もそちらに派遣されるのです。』
周囲の生徒は渋々といった様子で納得して再び食事を始める。
そんな中、藍は一人だけキョトンとしていた。