「おい・・・?」

「・・・」

「おいってばー!」

「・・・」

「こらッ!小僧こっちを見んかー!」


机の上から和希を見上げていた悪魔が怒鳴りつけた。

悪魔の声に我に返った和希。

ほんの少し尿意の波も収まる。

「お前は、なんで俺様の存在を無視するんだ!」

「・・・あのな!お前は人の思考が読めるんだろ・・・?」

「・・・当然だ!悪魔なのだから」

「・・・なにを偉そうに言ってやがる」

自分に向かって胸を張る悪魔にいらつく。

「だったら俺が今どういう状況か理解できるだろがー!」

心の中で悪魔に向かって叫んだ和希に、再び尿意の波が襲ってきた。

「・・・ウッグぅぅぅぅぅぅー!」

「・・・状況・・・?なんの状況だ・・・?」

「こいつ、やっぱり悪魔だ!人が苦しんでるのを楽しんでやがるな」

ひたいに脂汗をかきながら、物凄い顔で自分を睨み付けている

和希に悪魔は気後れしてしまう。

「・・・なっ!なんなんだ、この人間は? 状況ってなんの・・・?」

悪魔には、人間のような排泄機能は無い。

だから悪魔には、今の和希の状況が全く理解できないのである。

「・・・この小僧、俺様が恐くないのか・・・?」

いままでに、出会ったことの無い反応をする人間を目の前にして、戸惑う悪魔。

「・・・恐くないよ・・・」

「・・・へっ?」

突然、和希から返答され悪魔は驚いた!

「こっ!こいつ、なぜ俺様の考えが解ったんだ・・・?」

「・・・なぜって? お前が俺の頭の中に話しかけているだろう?」

「・・・そんなバカな!」

悪魔は人間の思考は読むが、自分の思考は意識して伝えないかぎり

人間に読まれることなど決してありえ無い。

「・・・本当になんなんだ・・・? この人間は・・・?」

悪魔は、いままで経験したことの無い状況に背筋が寒くなった・・・