「時は戻らない。残された私達は生きていくしかないんだよ。辛いけど、前を向いて生きていくんだ」
ポロポロと涙の止まらない私に、まるで言い聞かせる様に話すヨシキのお父さん
ヨシキより少し濃いグレーの瞳が私を見つめている
その姿が、どうしてもヨシキと重なって、涙の量が増す
「でも・・・どうしてって思ってしまうんです。会いたいって…戻りたいって…。――苦しくって、悲しくって、悔しくって・・・会いたくて会いたくて、前になんて進めなくてっ」
私の心の中のヨシキへの想いが溢れ出す
会いたくって会いたくって、狂ってしまいそうな私の心
もう増える事のないヨシキとの思い出
だから、思い出ばかりにすがってしまう
過去に生きている私
私の時間はヨシキを失ったあの日で止まっている
世界は色を失って
輝いていた時は光を無くして
もう進む事はない
二度と
1人で立てるほど私は強くない
光を失った未来に希望なんて見つけられない
私は泣いてばかりで
赤い糸の先には、誰もいなくて―――
変わらない現実だった