ザァー…ザァー…

静かに波の音が響き渡る



この時なら誰もがそういうかもしれない

けど、私は違う

【聞こえない】

なにも聞こえない

ふと横でお母さんが手話をしてくれる。


《空音、そろそろ、つくから、荷物をおろしてくれる?》

「わかった、待ってね」


立ち上がって、荷物の取っ手を掴む

それを、引っ張り出し床に下ろす


《ありがと》

「いいよ」


また、椅子に腰をかける

別に、旅行をしにきたわけじゃない

父さんが、お爺ちゃんが、病に倒れ立って聞いて、仕事をやめて、漁師をやるそうだ

だから、ここにきた理由は、引越し

船が、港につく

そろそろいかなきゃ