「くっそぉ!」

圧倒的な力量差。

自分達は完全に弄ばれている。

自分達に何ら反撃できなかった俊平がそうだったように。

涙目になって、素手で殴りかかる残りの若者達。

しかしまともな喧嘩すら経験のない者の拳など、殴り合いを究極まで突き詰めたボクシングの前では児戯に等しく。

「ぎゃっ!」

夏彦は若者達の拳をパリング(掌で相手のパンチを叩き落とす防御技術)で撃墜する。

それだけで強い痛みが若者達を襲う。

これが痛み。

ただ一方的に抵抗できない者を甚振る彼らにとって、初めて経験するものだった。