ダラリとだらしなく舌を垂らし、床に仰向けに倒れる若者。

この辺りになると、ようやく他の者達も気付き始める。

この男は俊平とは違う。

もしかしたら俺達の手に負えないんじゃないのかと。

「さて…」

ピーカーブースタイルに構え、夏彦はフットワークを駆使する。

「次はどうする?その鉄パイプで殴りかかってみるか?」

「う…うあぁぁあぁぁあぁぁっ!」

ヤケクソだった。

作戦も戦略もなく、真正面から鉄パイプで殴りかかった若者は。

「うっ!」

ウィービング(頭や上体を上下左右に動かし的を絞らせない方法)で悉く振り回す鉄パイプを回避される。

「武器を持ってもこんなものか…」

失望したように溜息をついた後。

「あぐっ!」

またもアッパーカット。

若者は脳震盪を起こし、白目を剥いて倒れた。