「あ、あたしでいいの?あたし、本当に性格悪いよ。康ちゃんに近づく女には容赦しないだろうし、康ちゃんを独占しちゃうよ」



「瑠夏さん、瑠夏がいいんだ。これからは俺を独占してよ。よそ見して欲しくない。俺だけの瑠夏でいて欲しい」



「康ちゃん・・・」



「西海瑠夏さん。俺と結婚してください」



「・・・はい」



向かい合う西海さんの左手をそっと取った柴田くんはゆっくりと箱を開けて輝く指輪を手に取るとそっと薬指に嵌めた。


その瞬間、あたしの隣で大きな拍手が響く。あたしから体を離した湊が立ち上がり大きな拍手を二人に送っていた。



あたしも遅れながらに立ち上がり拍手を送る。



そのとき向けられた西海さんの表情は初めて見るような穏やかで優しい笑顔だった。