「幼馴染なんて学校を卒業して家を出てしまえば付き合いすら薄れてしまう。どちらかに恋愛感情があれば関わりがあるかもしれないけれど俺らみたいにお互いに恋愛感情がなければ離れたらもうおしまいだ。


だからこそ、俺は瑠夏のそばから離れなかった。それは同情でも、愛情でもない。当たり前の環境だったから。瑠夏が隣にいない生活が想像できなくて、大学も就職先も合わせたのは俺だ。

いつからか俺の方が瑠夏に依存していたのかもな。でも、俺が早く瑠夏を解放してやればここまで追い詰めることなかったな」



ううん、それは違うよ。



湊が離れられなかったようにきっと西海さんも離れられなかった。西海さんは誰かにずっとそばにいてほしかったんだ。



だから、そばにいた湊を手放せなかった。湊なら自分から離れていかない、選んでくれるって分かってたから。