口を覆った手を離すことをやめた柴田くんはそのままそこであたしの身体を押し倒した。


首筋に唇が触れそうになった瞬間、あたしはそっと口元の手を離した。



「・・・慰めることは簡単だよ。でも、あたしたちに残るのは後悔。だって、あたしたちの間には恋愛感情はない」



「・・・じゃあ、どうすればいいんだよ!俺は俺は誰よりもあの人を・・・思っているのに」




あたしの顔の横に拳を殴りつける柴田くん。歯がゆいよね、理不尽だよね。



だけどあたしたちがしなくちゃいけないのはお互いを慰め合うことじゃない。



そっと優しく彼の髪に触れる。落ち着いてと安心させたくて頭を撫でる。