急いで灯をつけよう。酔っていたとはいえ、湊もまだあたしがここに引っ越してからは来ていない。



それなのに、先に柴田くんを入れてしまった。今ならまだ間に合う。



最寄り駅付近で飲み直すほうがいいに決まってる。



靴を脱ぐ前に外に出ようと振り返ると柴田くんに両肩を押されペタンと座り込んでしまう。



立ち上がろうとすると近づいてくる彼の姿。



「・・・舞花、俺を・・・慰めてよ」



唇が触れる寸前、とっさに床に着いた左手で自分の口元を覆う。あたしの手の甲に触れる柴田くんの唇。



力強くあたしの手を離そうとするけれどなんとしても離すわけにはいかない。