いつもより優しく問いかけてくれる湊の後ろから聞こえてくる悪魔の囁き。



あたしと湊は同じ立場。ライバル。



そう言われて急いで電話を切った。そしてそのまま電源を落とした。



あたしには相談することもできない。一人で戦わなくちゃいけないのか。



電車に乗り込んでも聞こえてくる関西弁に耳を塞ぎたい。


見えてくる景色も見たくない。明石海峡大橋のライトアップも今は嫌い。



ポストに入っていた不在通知。今から電話する気にもなれず握って鍵を開ける。真っ暗な部屋のカーテンからは少しだけ差し込む明石海峡大橋。