春が来て、春が来て、
また春が来て。
とうとうこの春がやってきた。
アタシ、山内茉莉早、16歳は
高校生へと進学いたしました!
「あれ、もう来てたんだぁ」
「あっ、もえ、遅いよ~」
この子は、槌屋萌。
アタシの幼馴。
ちょっとマイペースだけどね。
「あんたが早すぎんのよ」
「あぁっ、はるぅーっ」
この子は、稲葉春奈。
萌と同じ幼馴染。
クールでカッコいい、女の子。
「私たち、高校生になっちゃったんだねぇ」
「そうだな。
まぁ、まりが変なことしなきゃいいんだが」
「えっ⁉なにそれ、ひどくないですか⁉」
そうだよね、
このアタシもとうとう高校生に…
べチッ
「⁉…いったぁ…
誰だ、アタシの頭をけがしたやつわぁ!」
「―ッハッハッハッハ‼」
笑い声の方に顔を向けると
そこには――
「…たーいーがぁぁぁぁ‼」
「ハハッ、わりぃわりぃ。
お前のアホずらが見たくて、つい」
こいつは、藤谷虎河。
何かとアタシにかかわってくる。
小学校からの付き合いだけど
子供のころからまったく変わってないなぁ…
「ついじゃないわっ、
ついじゃぁ―――――ッ‼」
「…ほんっと、朝から騒がしいわね」
「2人とも仲いいよねぇ」
「仲なんて、よくないからっ‼」
ホントにあいつは嫌。
朝からついてないなぁ…
「あ、それよりアレ見た?」
…は?
アレって言われても…
「…アレってなに?」