返事が入っていたのは、その日の夕方。
もしかして、とこっそりと人目を気にしながら探りに行くと、一通のルーズリーフ。

私の返事も瀬戸山にもらったルーズリーフにそのまま書いたからか、その続きに返事が書かれていた。


“前からずっと気になっていた”


気になる理由がわからない。
前っていつからだろう。私からそこまで深く聞くことはできないけれど……気になるのは事実。


“自分があってかっこいい”


誰のことを言っているのかと一瞬不安になる言葉。

私のどこを、いつから見ていて、“かっこいい”なんて思ったんだろう。
自分の意見を口にできなくて、みんなに、友達に合わせてばかりの私なのに。


でも、こんなに早く返事をくれるってことは、相当気にしているのだろう。


困っているのも正直な気持ちだけれど、数回やり取りをしていると、本当に私のことを好きなんだ、と実感してうれしい気持ちもなくはない。

つき合うとか、そういうのはさすがに……考えられないんだけど。


「どう、しようかな」


返事をするべき、なんだろうなあ。

これになんて返せばいいのかさっぱりわからない。
瀬戸山の手紙はいつも返事しにくい。


ふうっと小さく息を吐き出して、再び手紙に目を通した。


“俺って気持ち悪いな”っていう一言に、かわいらしさを感じてしまう。こんなことを言うようなイメージなかったんだけどな。


くすっと笑みがこぼれてしまって、あわてて口元を隠して周りを見渡した。見られてたらかなり恥ずかしい。