「優子も、強引に誘ったんでしょ?」

「えーそんなことしてないよー。なに? 希美、行きたくなかったの?」


ちょっとふてくされる優子に、「いや、そんなことは」と言うと「希美もはっきりいいなよ」と江里乃にちょっと怒られた。

……こういう場合、どうすればいいんだろう。
優子の言っていることも、江里乃の言っていることも間違いだというわけじゃない。心配してくれているのもわかる。ちょっと誤解が含まれているとはいえ。


「大丈夫だよ、ありがとう江里乃。優子に誘われたから行くけど、行きたくないわけじゃないから。興味もあるし、行きたいって思ってるから」


でも、心配してくれてありがとう、ともう一度最後に言うと、江里乃は「それならいいけど」とまだ納得してない雰囲気ではあるけれど言ってくれた。


「じゃあ、また時間とか場所とか決まったら言うからー」


私の返事に満足したのか、さっきまで少しよくなかった空気がウソのような明るい笑顔とともに優子が去って行く。

……さすが江里乃だなあ。
はっきりと口にできるんだもんな。

流されて、その場の空気を探るようにしか発言できない私と違って、優子にあんな発言ができる。

その分、私にも意見を言うように求めるから困ることも多い。

優子もはっきりしているところがあるけど、優子の場合は強引でもあるから、意見を求められるよりも楽だったりする。


結局流されてるってことなんだけど。


「本当にいいの? 希美は好きな人が……」

「それは本当に、違うからー」


瀬戸山のことを臭わすような発言に、もう一度否定を告げる。でも、相変わらず信じてはくれなかった……。