ほっと胸を撫で下ろしつつも、もしもまた返事を渡すことがあるなら気をつけないと、とつぶやく。

手紙だからこそ話ができるけれど、面と向かって彼と話す勇気はない。


まっすぐに向かってくる発言に、どう答えていいのかわからなくてパニックになるのは目に見えているもの。


面と向かって、まっすぐに問いかけられるのは苦手だし。
どう答えたらいいのかわからなくなってしまう。

それこそ……矢野センパイとつき合ったときみたいなことになりかねない。

そして、別れを告げられたときみたいに。


そう考えると、瀬戸山が手紙という形で告白をしてきたことは、よかったかも。
あとは……これから、どうするか、だよね。


「おはようー」


江里乃と向かい合って昨日のテレビの話や漫画の話をしていると、元気な声で優子がやってくる。


「おはよ」

「来週末くらいあけといてねー」


鞄を自分の席にぽいっと投げて、私たちの間に入ってくるなり、私を見てそう告げる。
なんのことかと首を傾げると「合コンよ、合コン」と呆れた声を出した。

あ、ああー。そんな話もしたっけ。


「え? 希美合コン行くの? なんで?」

「そりゃ彼氏が欲しいからでしょー」


私を見て不思議そうな顔をする江里乃に、優子が答える。
いや、別に彼氏が欲しいからって言うわけでも……ないんだけど。

断れなくて、とも言えるけど、まあいいかと思ったし。


「やめなよ、希美。別に誰でもいいわけじゃないでしょ?」

「え、あ、っと……」


心配そうな顔をされて、どうしていいのかわからない。
もしかして、瀬戸山のことを好きだと思っているから止めているのかも。