「…まさか、お前がこんなに早く“結婚”するとは思わなかったよ。」



レポートらしきものをカバンにしまいながら。

部屋を出て行くどころか、腰を下ろして、くつろぎモードに突入する男。



「とっかえひっかえ…あれだけ遊びまくってたくせに。選んだ相手は“幼なじみ”ときたもんだ。」


……私の話、だ。


「しかも“女子高生”!16になったばっかりの子と、焦って結婚する必要があったわけ?」


……なんか、気まずい。

聞いちゃいけないような、でも、聞きたいような…



「あ、もしかしてアレか?“大きくなったら結婚しようね?”って約束でもしてたのか?」

「……」

「じゃあ、うっかり手を出して、“傷物にした責任取れ”ってことになった…とか?」

「……」



この人、絶対に面白がってるよね?

でも…

このまま聞いてれば、龍ちゃんの気持ちがわかるかも?


「やっぱり…隠してるだけでホントは“できちゃった”んじゃ「…違うよ。」


それまで黙って流していた龍ちゃんが、ようやく口を開いた。



「アイツはそういうんじゃないから。…手ぇ出すわけないじゃん。」