「龍ちゃ…」


少しだけ開いたドアから漏れる話し声。

龍ちゃんの部屋。

そーっと近づいて、覗いてみると…


「やーっ、いつも悪いね。」

「ホントだよ。お前、たまには自分でやれよ。」

「まあまあ。そう堅いこと言うなって。」



へらへらと愛想の良い笑みを浮かべる派手な男と、不機嫌丸出しな龍ちゃん。

あ…あの人、知ってる。

龍ちゃんのお友達だ。


「ほら。俺の渾身の作。徹夜で仕上げたんだからな。有り難く受け取れ。」


昨夜の…?

もしかして、私の邪魔をしたのはあの人か??

なんか、ムカついてきた。


「ほら、とっとと帰れよ」


男がそれを受け取るや否や、追い出しにかかる龍ちゃん。


「なんだよぉ。いいじゃん、ちょっとくらいゆっくりさせろよ」

「ダメ。…つーか、そもそも家には来るなって言ったじゃん。」

「なんで?いいじゃん。俺たち親友だろ?…って、そっか。もう“1人”じゃないもんな?」


にやっと、楽しそうに笑った。