ミュージシャンなんて商売をしていれば、ファンから色んな物を貰っている事だろう。
それに、大阪に居るであろう彼女さんからは、きっとあたしが想像もつかないほど素敵な物を貰うはず。

なのに、こんなちんけな物を貰っても、迷惑になるだけか?

う~むぅ~。

もう一度唸り声を上げ、抽斗をそっと閉める。

「当日になって、あげるような雰囲気でもなくなったら、これは自分で使うとしよう」

自室を出て、日用品の買出しに行こうかと考えていると、携帯が鳴りだした。
ダイニングテーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯が、一昔前のメロディと共にぶるぶる震えている。

ついでに、水上さんがくれたタコ君もぶーるぶる。
まさに、タコ踊り……お粗末さまでした。

自分の寒いギャグに、引き潮の如く引いてからボタンを押す。