『俺が留守の間も給料は発生しとるやないか。そないな仕事、すぐに断れ』

断れって、横暴な……。

あたしは、借金を少しでも早く返したいんですよぉ。
わかってくだせぇ、ご主人さまぁ。

「えっと、でもですね……。一応、一度引き受けてしまったものは、断れなくてですね……。それに、借金も、早く返したいわけで……」

首を竦め、責められながらも、ブツブツと言い訳を並べていく。

「誰?」

しどろもどろになりながら必死になっているあたしを見兼ねたのか、凌が話しかけてきた。
あたしは、受話口をまた押さえ、バイト先の雇い主、とだけ簡単に説明をする。

「俺からの依頼をを断れっ、てこと?」
会話の端々を拾って、凌が訊いてきた。

「うん」
「それは、困る。俺がその人と話しよっか?」
「え゛っ!? いいっ。いいっ。自分で話すからっ」

凌と水上さんが会話だなんて、ややこしい事になる気がして、想像したくもないくらい恐ろしい。