呆れながらも、なんとかタクシーに乗せようとすると、ちゃうやろぉっ!
とまた叫ぶ。

「だから、何がですか? 別のタクシー呼べ、とか言わないで下さいよ」
「そんなんちゃうっ」

バタバタと手足を動かし、まるでダダッ子だ。
あたしは、呆れながら水上さんを見る。

すると。

「英嗣やしぃっ!」
「はっ?」
「せやからぁ、え・い・じ」

ああ、はいはい。
呼び捨てにしろってことですね。

すっかり忘れていた。
つか、本当に、面倒なお人だ……。