くだらない思考の傍で、水上さんが呂律の怪しい口調でしゃべっている。

「あかりぃ、お前はほんまよぉ働くわ、うん」
「ありがとうございます」

「あかりぃ、お前はほんまに料理が美味い、うん」
「ありがとうございます」

「あかりぃ、お前はハキハキとしていてほんまに気持ちがえぇ、うん」
「ありがとうございます」

「あかりぃ、敬語はあかんっ、ゆうてるやろぉっ――――」
「あ、ごめん」

こんなやり取りが、壊れたレコードみたいにしばらく続いた。

褒められるのは嬉しいけれど、この酔ったおっさん――――。

んんっ! 失礼。
基っ!

この酔ったご主人様を、どうやって家までつれて帰るか。

つーか、十一月とはいえ、外はまだ充分明るいですからね。
こんな時分からこれだけ酔ってる人も、珍しいですから。