「大丈夫やって。このくらい大したことないゆうてるやろぉ?」

そう言っている呂律が、既に怪しい気がするのは、あたしだけでしょうか……。

結局、食後のコーヒーが出てくる頃には、二本目のボトルはとっくに空になり。
それでも飲み足りなかった水上さんは、二、三杯グラスワインを頼んでいた。

あたしは、アルコールにやられて速くなった鼓動を抑え付けるように、苦いコーヒーを体内に流し込む。

水上さんはといえば、案の定、相当なご機嫌ぷりアンド酔いっぷり。
目元はとろんとし、頬も赤くなっている。
これで禿げていたら、こーの、よっぱげがぁー。と突っ込むところだが、生憎水上さんは禿げていないので突っ込めない。

つか、売れっ子ミュージシャンが禿げって、致命傷だよね。

良かったねぇー、禿げてなくて、うんうん。