固まっていると、匡は無表情で視線をそらした。
こ、怖い…
すると匡の近くにいた愛理が匡に話しかけた。
『匡くん、足速いんだね!私、びっくりしちゃった!』
そう。愛理もリレーの選手だったのだ。
『うん。愛理ちゃんも速いね。』
『みててくれたのー?嬉しい♪』
『うん。ずっと見てたよ。』
ズキっ
ずっと愛理を見てたの…?
すごくショックだった。
『おーい。綾?どうかしたかー?』
同じリレーの選手の裕翔が聞いてきた。
「ううん!なんでもない!それよりお疲れ!」
『おう!綾も速かったな!』
クラスの男子とは話をしないようにしているから、唯一、裕翔だけが私と話せる男子だった。
「でしょー?裕翔には負けないんだから」
『はー?俺のほうがお前より速いっつーの。』
そう言って、頭をつついてきた。
「いたっ!やめてよ!絶対私のほうが速いからねー」