どうして、あなたが気づいてくれるの?
 
 今まで我慢していたものが頬を流れて行く。
 私は下を向いて涙を止めようとしたけど
 全然止まらない。

 「え、え、お前…」
 「……」
 無言で泣き続ける私。

 「あーもう」
 深いため息。

 なんで私こんなに迷惑かけてるんだろう。 
 馬鹿みたい。

 それでも涙はポタポタ溢れ出してくる。

 その時、頭に温かい重みが伝わった。
 え…?
 顔を上げてみると、少し照れながら
 優しい目をして頭を撫でてくれて
 いる鈴木空がいた。 

 「お前どんだけ我慢してんだよ」
 鈴木空があまりにも優しい笑顔を
 向けるから私の鼓動が高鳴る。

 「園上」
 鈴木空はヒョイっと下を向いてる
 私の顔を覗き込んできた。

 ドキッ。

 「えっ、何!?」
 「お前はさ、まず胸を張れ」
 「そしたら自然に前向いてっから」
 そう言って私の肩を持って前に向けた。

 「なっ?」
 その優しくも無邪気な笑顔にまたも鼓動が高鳴る。

 「あ、うん」
 どうしちゃったの、私。

 いつのまにか涙は止まっている。

 「じゃ、さっさと片付け終わらせて帰るかー」
 「え、いいよ!鈴木くんは」
 「こんな時間なのにおいて帰るわけないだろ、あほ」
 また頭をぐしゃっとされる。

 鈴木空のおかげでものすごく早く片付けは終わった。

 「よし、着替えてさっさと帰るか」