ドリブルの音が響く体育館。
 今日は男バスの練習と合同のようだ。

 千春とパス練をしている最中、
 黄色い歓声があがった。
 みんなの視線は隣の男バスのコート。
 男バスが部内試合をしているようだ。

 「きゃーかっこいー!」 
 「キャプテン頑張ってー!」
 など色々な歓声をあげている。
 
 その中でも1番注目されていたのが、
 1年でレギュラーになった鈴木空。
 スピードも技術も先輩に負けない期待のエース。
 
 彼のするバスケは無駄がなくとても綺麗で
 私もつい目で追ってしまっていた。

 ドンッ。
 「邪魔なんだよ。練習しないなら帰れよ」
 先輩と肩がぶつかり私は後ろに転んだ。
 「大げさにしてんじゃねーよ」
 数人の先輩達がクスクスと笑う。
 「…すみません」
  
 「あ、園上さん。今日からコートの片付けや
  雑用あなた1人にしてもらうから」
 「え。そんな事、キャプテンには聞いてませんけど」

 「前田さんはもう引退したの、今のリーダーは私達」
 「何か文句ある?ボーッとしている時間があるならできるでしょ?」
 先輩達は私にモップを持たせた。

 「…はい。わかりました」