どのくらい土井くんの手を握っていただろうか。

気づけば人混みもまばらになり、
出店の明かりもぽつぽつと消えかけていた。

「そろそろ、帰ろっか」

そう言って私から手を離しかけた瞬間

ぐいっ…

瞬時に土井くんの胸に
私の体が引きつけられた

「土井くん…?」

少し湿った汗の匂いと
ホワイトムスクが混じり合う

土井くんは何も言わず
だけど
胸の鼓動がわかるほど
きつく私を抱きしめた。