なんで、私に金魚すくいやろうなんて言ったんだろう。

土井くんは夢中で金魚をすくってる。

意外に上手い。
次々と、金魚をお椀にいれる。

私はというと、一瞬水につけただけで、
紙が破けてしまった。

ぎりぎりまで金魚を捕まえる土井くんをみて
思わず「すごーい」と声が出た。

「やっとしゃべった」

土井くんがこっちを見た。

ふわっ…

ホワイトムスクの香りがする。

「北條さん、金魚すくいやりたかったんでしょ?」