気付いたらあたしは、帰ろうとする今沢のブレザーの袖を掴んでいた。



我ながら、なんて漫画チックなことをしたんだろうと思う…(恥)



でも、行動しちゃったもんは仕方が無いでしょ。



「…なに?」

「あ。ゴメン…」



慌てて掴んでいた手を離す。



「…言わないと分かんないけど」



だよね…(汗)



「…そ、その…きょっ、キョーハドーモ……アリガトゥ…!」



………。



ふんぎゃぁ!!



言った、言った、言った、言った、言った、言った!



あたしは熱くなった顔を必死に隠して、玄関に飛び込んだ。



誰に言うよりも緊張する。



きっと世界中探しても。



あたしが「アリガトウ」を1番言えない人。