“キーンコーン…”
「もう帰ったか…」
1時間目終了のチャイムが鳴り終わると聞こえた、田中の諦めた声。
ふぅー…。
やっと暗闇から脱出できる。
“キィーっ”
「んー…!」
久しぶりの光が眩しくて、目を細めながらのびをする。
あたしたち、1時間近くも抱き合ってたんだよね?
あんな狭い場所に、2人きりで。
くわぁぁあああぁ(恥)!!
今思い出しただけでも、恥ずかしすぎるわっ!!
「どーする?」
「…なにが?」
突然今沢があたしに尋ねる。
「今からどーするかって聞いてんだよ」
「あ、あぁ…!」
そう言うことか。
い、今沢の顔がまともに見れない。
「あたし…帰る。もう教室に戻りたくないし」
今沢から視線をずらしながらそう言った。
「なら、行くか」
「うん」
…うん?
「…は?!行くかって、どこ行くのよ!?」
「俺も家に帰るから、途中まで」
そう言うと、今沢はさっさと靴に履き替え、歩いていってしまった。
「わわっ!ちょ、待ってよ!」