もう、何やってんだ。



あんなのいつもの事で、もうとっくに慣れてたはずなのに。



……なんで。



なんであたしは、桃井財閥の娘なんだろう。



なんであたしは、お嬢様なんだろう。



なんであたしは、将来を決められてるんだろう。



誰もいない廊下に、あたしの足音だけが響く。



これからどーしよ。



「………」



“子は親を選べない”



あたしは、恋愛できない。



しちゃいけない。



恋愛したって、傷つくのは自分達だと知っているから。



だから初めから、しない方がいいって。



意味がないって。



諦めてた。



だけどそれがあたし。



だから、親を選びたいだなんて思ったことない。



財閥嬢として生まれて、それなりの人生を歩んでいく。



後悔なんてしない。