コツ・・・コツ・・・コツ・・・
駅から歩いて、既に10分以上が経つ。
既にシャッターばかりになった商店街を通り、自宅への最短距離である細い抜け道に入る。
0時を回っているせいか、それとも精神状態のせいか、いつもより道が暗く感じる。
コツ・・・コツ・・・コツ・・・
陽子は、パンプスのヒールを鳴らしながら少し歩くスピードを速める。
カッ、カッ、カッという何かを削っているような音が足元から響く。
多分、偶然だ。
近所の人は、ほとんどこの抜け道を通るから。
陽子は、そう自分に言い聞かせながらも、背後からする足音に恐怖を感じていた。