腕の中の細い身体。 一歌のにおい、体温、鈴が転がるような声に、細い絹みたいな髪。 その存在に触れると気持ちが静まっていく。 心が満ちる。 母親が死んでから、ずっと埋まることのなかった空虚さ。 独りではないという幸福を、 肌で感じられる。 これはきっと……奇跡だ。