喧騒が漂う放課後の教室。


SHRが終わって席を立ったときだった。

孝太が教室の隅で手招きをしていて、俺はカバンを肩にかけながら近づいた。


「瑞貴、いいもんやるよ」 


ニタニタと顔を緩ませながら、孝太は手を出せというふうにあごをしゃくる。


「なんだよ」 


どうせろくなもんじゃないだろと思いながら手を差し出すと、孝太はポケットから素早く何かを取り出して俺の手の上に置いた。


それは薄っぺらい正方形の……。


「おい、これって」

「いいから、早くしまえって」


急かされて慌ててポケットにそれを押し込む。