「あの、姉弟だよ? あたしたち」


小さな唇がこぼした言葉は、ドラマかなんかのセリフみたいで、まったく現実味がなかった。


姉弟っていったって、数年同じ家で一緒にすごしたに過ぎない。

俺たちは、別々の親から生まれたんだから――


「血はつながってない」


俺が言い放つと、一歌は少しだけ眉を下げた。


「そういう、問題じゃないでしょ」



――じゃあどういう問題なんだよ。


そう言いたいのを抑えてまっすぐ見つめる。



姉とか弟とか、そんなのは問題じゃないんだよ。


「俺はもう、ずっと前から――」