今朝よりもずっと確かな感触に、全身が震える。
 
一歌の唇に触れていると思うだけで、心臓がしぼられた。

 

ずっと欲しかった彼女の、ほんの一部に触れただけなのに。

感情が弾け飛んで、自分が定まらなくなる。
 
 

何がいけないとか、どうするべきだとか、働くべき理性は荒ぶる心を前にあっけなく屈して、

俺はただ呟いた。



 
「……好きだ」



ずっと秘めていた己の感情を。



「好きだ、一歌……」 



真っ白な壁が汚れると分かっていてなお、ためらうことなく、

深紅のペンキをぶちまけるみたいに――