心にまとわりついていた後ろめたさが、急に質量を得たみたいに、気持ちがずしりと沈んでいく。


いくら気持ちが昂ぶったからといって、キスなんか、するべきじゃなかった―――


怖い、という感情が、身体の内側から徐々に俺を侵食していく。
 
ただそばにいることさえ、できなくなったら、
 

俺は――



「大丈夫」



小川のせせらぎのような、さらりとした声が背中に響いた。

一歌の言葉が、両手から零れ落ちる水のように、俺の身体をすり抜けていく。


「平気平気、事故だと思って忘れるから、瑞貴も忘れなよ」
 

 
忘れ―――?



罪悪感に冒されて沈んだ気持ちが、今度は膨張して、


破裂した。