今朝、一歌にキスをした。
空を覆う雲がなければ、太陽は容赦なく地上へ光を注ぐ。
気分が塞いだヤツがいてもお構いなしだ。
光を浴びたい人間ばかりじゃないっていうのに。
昼食後のわずかな時間でも、俺たちはグラウンドに出て、全力で遊び倒す。
朝礼台の隅にあぐらをかきながら、サッカーボールを追いかけ回す孝太たちをぼうっと眺めた。
いつもだったらあそこに混じってボールを追いかけるところだけど、今日はどうも気分が乗らない。
さっきから頭に浮かぶのは、床に飛び散った弁当の具材だ。
べちゃっと崩れてフローリングに貼りついた卵焼きみたいに、俺の脳裏にもあの光景が貼り付いてる。
――彼女なんでしょ?
一歌が、あまりにもバカげたセリフをぬかすから。