慌てて振り返ると、開いたドアから廊下の明かりが斜めに差し込んでいた。

その傍らに、きょとんとした顔の一歌が佇んでいる。


な――


炎に包まれたように顔が熱くなった。



「か、勝手に入ってくんじゃねーよ!」



一歌に、俺の猥雑な妄想を見られた。

そんなはずはないのに、堪えようもない恥ずかしさに取りまかられる。

体中の血管という血管が一気に焼けて、全身の血が沸騰したみたいだ。


「ご、ごめん」


俺の怒鳴り声に萎縮する姿を見て、今度は心臓を締め上げるような罪悪感が押し寄せる。