一歌の華奢な手首、白い首筋、小ぶりの唇……

細い身体――全部に、


触れたくてたまらない。



「はぁっ……」


椅子に座ったままで、膨らんでいく欲望をひたすら抑えた。


うるさいほどに響いてるはずの洋楽も全然耳に入らず、机の上で自分をいさめるように強く拳を握る。


頭の中の一歌に、いつか講習会で見た裸の女の映像が重なりそうになる――


「……っ」


なにやってんだよ、俺。

ダメだって――


その瞬間、



「瑞貴」



耳とヘッドフォンの隙間を縫うようにして届いた声に、心臓が跳ね上がった。