「あれが彼氏かよ。どこがいーのあんなの?」


腹の底がたぎるまま、俺は居間に入ってきた一歌に本音をそのままぶつけてやった。


「あいつ絶対、ヤルことしか考えてねーよ」


男のことなんかなんにも知らないくせに、あんなヤツに引っかかってんじゃねーよ。


「そんなわけ……ない、でしょ」


強がってても、一歌の声は震えてる。


「バカだな~一歌は」


ほんとに、馬鹿だ。

自分がどう見られてるかも知らないで――


「あいつ、俺が帰ってきたらすげー残念そうだったじゃん。家に上がりこむつもりだったんだよ」


固まってる一歌に、俺の饒舌な口は止まらない。

まるで、八つ当たりでもするみたいに。