いつか襲われた罪悪感の正体は―― 一歌に対してのものじゃなくて、自分に対しての警告だったんだ。 芯から欲してる人間がいるのに、別の方向を向こうとした俺自身を諌(いさ)めるために、無意識に鳴らされた警鐘。 「ごめん」 誰に対しての謝罪だったんだろう。 「……ごめん」 目の前でしおれた花のようにうな垂れる北原に、気の利いた言葉なんかかけることもできずに。 ただ、 「ごめん……」 謝ることしかできなかった。